子供のワキガの発症時期は?適切な対処法(治療)は4つ
ワキガは遺伝する要素が強いため、親子で悩んでいる方が多いものです。また、子供に遺伝した場合、精神的な部分を十分考慮した上で、適切な対処法を教えてあげる必要があります。
そこで今回は、脇の匂いが気になるお子さんを持った親御さんに向けて、子供のワキガの発症時期やその対処法についてまとめました。
子供のワキガ発症時期は?
子供のワキガのニオイが気になりだすのは思春期頃から、といわれています。年齢でいうと、男子の場合は10〜13歳、女子の場合は8歳〜12歳頃になります。なぜこの頃からワキガのニオイが気になり始めるのでしょうか?
ワキガの原因であるアポクリン汗腺
アポクリン汗腺は耳やわき、乳輪や外陰部、そして肛門周囲に集中して存在している汗腺です。
汗というと暑いときや運動した時にかく水っぽい汗をイメージする場合が多いですが、この汗は唇など一部を除いた全身に存在するエクリン汗腺という部分から分泌されているものです。
アポクリン汗腺からの汗は脂質やタンパク質などが多く、エクリン汗腺からの汗のように水分が多くサラサラとした汗ではありません。なので、雑菌が繁殖しやすく、ワキガの元になります。
アポクリン汗腺が何のためにあるのかというと、元々はフェロモンを分泌するためと考えられており、アポクリン汗腺からの汗は性ホルモンの刺激によって分泌が促進されます。
ワキガのニオイの原因
アポクリン汗腺から汗が分泌されても、実はその状態ですぐにワキガの強い体臭となるわけではありません。ワキガのニオイは、汗に含まれている脂質やタンパク質が、ワキにいる常在菌に分解される事で強いニオイの成分に変化する事で生じます。
そのため、市販のデオドラント商品は主に脇の殺菌を行う事でニオイの原因となる成分が作られるのを防ぎ、結果的に臭いを抑えるようになっています。
第二次性徴期にアポクリン汗腺が活発に
アポクリン汗腺の発達や汗の分泌には性ホルモンが強くかかわっているため、第二次性徴を迎えるまでの子供はワキガの症状が出る事はありません。
第二次性徴を迎える時期は人によっても異なりますが、男女の体つきの違いが表れてくる思春期の時期にワキガの症状が出てきやすくなります。
ワキガになるかどうかは遺伝的要素が大きい
ワキガの原因は主にアポクリン汗腺からの汗によるものですが、アポクリン汗腺が発達しやすいかどうかは遺伝的な要素が大きく関係します。
日本人を含む東アジア地域に在住のモンゴロイド系人種はアポクリン汗腺が発達しにくい遺伝子を持っている割合が高いため、第二次性徴を迎えてもアポクリン汗腺が発達せず、ワキガにならない方が大いです。
一方で欧米系やアフリカ系の人種ではアポクリン汗腺が発達しやすい方が大多数であるため、ワキガ体質になる事が一般的で普通なため、日本と比べてあまりワキガの体臭は気にされません。
なお、ワキガ体質は優性遺伝のため、親から子に受け継がれる可能性が高いとされています。両親のどちらかがワキガである場合は少なくとも50%、どちらもがワキガである場合は75%以上で子供が遺伝的にワキガ体質を受け継ぐことになります。
小学生の子が発症したらどう対処する?
上述のように、ワキガの原因は、アポクリン汗腺から出る脂質とタンパク質を含んだ汗が、脇の常在菌によって分解されることでニオイが発生します。これは子供でも大人でも同じです。なので、基本的には大人と同じ対処方法で大丈夫です。
まずは、きちんと毎日入浴し、脇を洗うことが大切です。子供の場合は特に、入浴しても脇を洗っていない場合もあります。それでもニオイがある場合は、殺菌作用のあるせっけんで脇を洗うなど、雑菌が繁殖しないように清潔にすることが大切です。
制汗・殺菌作用をもつ市販デオドラントを脇に塗っても効果があります。それでも気になる場合は、形成外科や皮膚科などの医師に相談するのも良いでしょう。
最も重要なのは、子供のメンタルケアです。思春期の子供は体も心も敏感な時期です。ワキガの自覚のない子どもに無理に伝えることはせず、子どもの気持ちを尊重し、対処法をそっと教えてあげるのが良いでしょう。
制汗剤?手術?どんな選択肢(治療法)があるか?
ワキガに対する主な治療方法は4つあります。上述のワキガの原因を理解すればご理解いただけると思いますが、対処法は基本的に子供も大人も共通です。
ワキガの治療や対処法は、
- 塗り薬
- ボトックス注射
- 汗腺を取る手術
- 汗腺を熱破壊する機械での処置
です。
このうち、塗り薬と手術は医療保険が適用されます。最も効果が期待できるのは手術で、脇の真ん中を約3センチほど切り、皮膚の裏側にあるアポクリン腺を取り除くことでニオイが出ないようにします。
ただ、脇を切開するのは気が引けるという人も多いのが事実です。皮膚を切開せずに済む方法として近年注目されているのが、機械を使う治療法です。
機械で電磁波(高周波やマイクロ波)を脇に照射し、汗腺組織を破壊します。傷痕が残らず、入院も必要ないですが、保険が適用されないというデメリットがあります。
ボトックス注射は、ボツリヌス菌がつくる「ボツリヌストキシン(ボツリヌス毒素)」を注射し、汗腺の活動を抑えます。。出る汗の量が減り、結果的に臭いも抑えられることがありますが、半年ほどで効果が切れるため、打ち続けなければならないことがデメリットです。
塗り薬は塩化アルミニウムをベースにしたもので、塗り続けることで汗の出口が縮んで詰まり、汗が出にくくなります。製薬会社による薬剤がないため、医療機関や薬局で調剤してもらう必要があります。
まとめ
思春期の頃、年齢でいうと男子の場合は10〜13歳、女子の場合は8歳〜12歳頃に第二次性徴期に入り、体が大人らしくなっていくと同時に、脇のニオイも強くなっていきます。
対処法は4つで、
- 塗り薬
- ボトックス注射
- 汗腺を取る手術
- 汗腺を熱破壊する機械での処置
になります。
これは、ワキガの原因が、
- アポクリン汗腺から出る脂質とタンパク質の多い汗
- 脇の常在菌
によるものだからです。大人との違いは基本的にありません。
ワキガは遺伝の要素が強いため、子供に遺伝する可能性が高いことも特徴です。親は、思春期にワキガのニオイが気になりだすことが多いため、子どもとの繊細なコミュニケーションが求められます。「あなたはワキガだよ」などとストレートに伝えるのは絶対に避け、まずはワキを清潔に保つ方法を教え、汗が出たらこまめに拭く、市販のデオドラント剤を使うなどの基本的な対処法を丁寧に教えてあげましょう。それでもニオイが強いようであれば、医師に相談してみましょう。
日本ではアポクリン汗腺が発達している人は少ないですが、欧米系やアフリカ系の人種ではワキからニオイがするのは当たり前で普通のことです。
広い視野で捉え、優先順位を考えて適切な対処法を試すことで確実に悩みも軽くなります。ぜひ試してみてください。
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